おおさかキッズパスポートと私
記憶違いでなければその昔、大阪にはおおさかキッズパスポートというものが存在したと思う。
それも私が小学校低学年の頃に配布されたので20年近く前の話になるだろうか。
おおさかキッズパスポートとは、大阪各地に点在する博物館、美術館、自然公園、文化的施設、レジャー施設を紹介している冊子で現地に行くとスタンプを押してもらえるというシステムだった。
高学年あたりで謎の覚醒を遂げた私は時に家族を巻き込み、時に一人でそのおおさかキッズパスポートなるものに記載された場所に行きまくった。
よくわからない端っこの方には遠いし怖いからいかなかった。それを言えば北摂も大阪の端っこではあるが。
今となってはもうどこに行ったかすらほとんど覚えていない。記憶があるとすれば、高槻かどこかにアクアピア?だかなんか地方の割に満足感のあるウォータースライダーを有したプールくらいだ。
自然博物館が併設されており、その地域周辺の川魚を見たりちょっとした歴史なんかを学ぶことができた。
記憶の中のそこはいつも曇天か小雨だ。わざわざ悪天候を選んで隣町のプールまで何度も出かけるほどアホな家族でもなかったと思うので、果たして本当にそんな場所があって家族で出かけたという事実があるのかも判然としない。
ただ、ネットで検索してしまうのも味気が無くなんとなくそのまま確かめずに置いている。もしかしたらこれを書き終えた後しれっと検索するのかもしれない。
ある時、おおさかキッズパスポートを手に提携施設でスタンプコーナーを探してみるとこれが全く見つからなかった。スタッフさんに尋ねるともうサービス終了で撤去されたのだという。
すこぶる悲しかった。その時にはもう配布されてからかなりの時間が経ってはいたが私の大阪キッズパスポートに対する情熱は冷め切っていなかったのだ。
掲載されている施設はどこも面白そうで、校外学習なんかで行けばきっとどれも楽しめそうではあったがスタンプが貰えないその場所に休日わざわざ出かける気には到底なれなかった。
何かが貰えるのかも知らない、全て集めてたからといって履歴書に書けるわけでもなかったが私はどうしてもそのスタンプを全て集めたかったのだった。
以降、大学で美術館に行くようになるまでそういった施設には行かなくなってしまった。
あれは本当にいいものだったと思う。
配布された小学生の何割が活用したのかは分からないが、スタンプ目的でも私が歴史や文化に触れるきっかけを作ってくれたし何よりおっかない父親を遊びに誘う口実を作ってくれた。
なくすのが惜しいサービスだった、なにか後継のものはないのだろうか…。
月単位で得る金額の増加と引き換えに日の体感速度の爆速化が止まらない昨今。
ユキチケットで夢や国や映画の街に行くのも好きだけど、たまにはあの頃のように小銭を払ってゆっくり文化館なんかを回って過ごすのも良いなと思った。
おおさかキッズパスポート、万歳。